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日々の雑記とお返事を不定期に
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今更ですが、かぐ誕で小話…にも満たない小ネタを一つ。
出来れば当日にUPしたかったんですが、「惜しい」のレベルじゃなく間に合わなかったもんで。遅ればせながら、しかも日記にUPです。

カプでも夢でもなく、銀さんと神楽でほぼ会話のみの誕生日ネタです。よし見てやるかという菩薩様は続きページよりどうぞー。




 *****




「銀ちゃん、銀ちゃん」
「ああー?」

昼下がりの万事屋。
本日のワイドショー特集は『主婦に人気のワンコインランチ』。
興味というより単なる惰性で画面を眺めているのだろう白髪頭から返される、やる気無い声。

「今日私お誕生日アル」
「そーかィ。そいつァめでてーな」

「今日私お誕生日アル」
「ハイハイ、おめっとさん」

「…」
「…」

「お誕生日アルゥゥゥ!」

「うるせェェェ!しつけーんだよ!てめーはよォォ!」

「貢ぎ物はどうしたアルか。テレビなんかいいから早くお誕生日サマに贈り物を献上するヨロシ」
「何が悲しくてお前の誕生日に俺が貢がなきゃならねーの?バカは休んで小さく前ならえしてから言いなさい」
「誕生日にプレゼント、これ付き物ネ。ごはんに卵と一緒ヨ」
「何が一緒なのかまるでわかんねーよ。つーか、どうせアレだろ?なんやかんやで酢昆布だろ?お前の欲しいモンは。酢昆布なら昨日買ったろ。実は今だから言うけど、アレがちょいフライング気味なバースデープレゼントだったんだよ。つーことで万事解決~」
「…フライングなんて反則アル。協議の結果クラウチングスタートからのやり直しを指示するネ」
「わかってねーな。フライングするってこたァ、それだけ想いが熱いってことよ。一途な想いに急かされて足が勝手に前へ出ちまったわけだよ。そんな真っ直ぐな野郎を誰が責められるってんだ。俺ァできねェ。俺ァむしろ奴を応援したいね。不器用なまでに熱いそんな生き様を見届けたいね」
「マジでか。フライングってそんなに熱いアルか」
「おうよ。だからおめーも応援してやれ。その想いがあれば、どんな敵にも負けねーってな」
「わかったヨ!私奴のために祈り続けるネ!フライングなんて怖くないアル!」
「よし、わかったらとっとと定春の散歩にでも行ってこい」
「ラージャ!」

「ああ、そういや忘れてたわ。神楽」
「?何アルか?」
「ハゲオヤジから手紙」
「パピー?…あれ?銀ちゃん、これ、私と銀ちゃん宛になってるヨ」
「俺宛のは先に取らせてもらったわ。心配すんな、おめー宛のは読んじゃいねーからよ」
「何アルか?パピー、銀ちゃんに何て手紙書いてたアルか?」
「ああ~?地球にいい育毛剤ねェか、ってよ。手遅れだって返事してやれ」
「わかったアル。ついでにオヤジ臭も手遅れだって書いとくヨ」
「おーそーしろ」
「定春ー、行くヨー。じゃ行ってきまーす」
「あー行ってこい行ってこい」




いつもの仲間とひとしきり走り回った公園が、ゆっくりゆっくり静けさを増し出す夕暮れ時。
迎えに来た母親に手を引かれ家路を急ぐ子どもたち。
名残惜しそうに。けれど、どこか楽しげに。
お母さん、おんぶ。
お母さん、お菓子買ってよ。
そんな声が、道の向こうに遠ざかる。一人、また一人と遠ざかる。



「定春、見てヨ。パピーからの手紙。『お誕生日おめでとう』だって。誕生日に家にいた事なんて無いクセによく覚えてたアルな」
「ワン」

「定春、私たちも帰らなきゃネ」
「ワン」

「でもあの天パとメガネ、たまには心配させるアルか。酢昆布の一つや二つ献上する気になるかもしれないネ」
「ワン」

「まぁ、アイツらに心配されるほど弱っちいガキじゃないけどネ」

電線のカラスが二羽飛び立った。どこか遠い山に帰るため。

ベンチに座った足を揺らせば、地面に横たわる影が道化師のように伸び縮みする。
そんな視界に入り込んできたのは、もう一つの長い影。

「おめーは昼出たっきりどこまで散歩にほっつき歩いてんだ。なんですか、自分探しですか?竹本君に弟子入りですか?」
「…銀ちゃんこそどこ行くアルか?酢昆布と肉まん、どっち買いに行くアルか?」
「なんで二択だよ。どっちも買わねーよ。オラ、とっとと帰るぞ、クソガキ」

投げ捨てられた台詞。
向けられた背中も銀色の髪も、逆光に染まり夕陽色。それを止めたのは自分の声。


「銀ちゃん」
「ああ?」
「おんぶ」
「はぁぁ?」

ベンチから立ち上がらぬまま広げた両手に最大級に寄せられる眉間のシワは予想通り。

「何それ?新しい攻撃?子泣きジジイ的なアレ?寝惚けんなら寝てからにしろよ」
「お迎えにはおんぶ、これ付き物アル」
「聞いたことねーよ、んな付き物。どこの何物だよ。つーか、何ガキみてぇな事言ってんの?一つねーちゃんになる日じゃねーのか、今日は」
「銀ちゃんさっき『クソガキ』って言ったアル。クソガキにおんぶは付き物ネ」

「…」
「…」

「…ったく、しゃーねーな」

呆れと諦めに満ちた溜息。用意された背に身を預ける。
立ち上がったその背から見た景色はいつもと同じはずなのに、いつもと少しだけ違う。色も形も、そして匂いも。

「今日しかしねーぞ」
「今日だけで十分アル」
「つーか定春いんだから定春に乗れや」
「定春にはいつも世話になってるから、たまには休ませてやらないといけないアル」
「メシ食ってクソして寝てるだけのコイツより、いつも世話んなってる銀さんを休ませろ、たまには」
「銀ちゃんだってメシ食ってクソして寝てるだけネ」
「俺ァおめーらの知らねぇところで大忙しなんだよ。銀さんだって色々考えてんだよ。涙が出ちゃうんだよ。でもコートの中では平気なんだよ」
「大丈夫ヨ」
「はぁ?何が?」
「銀ちゃんがヘタレた時は、私がおぶってやるネ」
「…」
「銀ちゃんと新八と、2人まとめて背負って一本投げネ。安心するアル」
「いや、何で投げちゃうの?安心できねーよ、そんなもん」
「遠慮はいらないネ。いつでもドンと来いヨ」
「…ガキに背負われんのなんざ、まだ早すぎらァ」
「早いことないネ。もう十分オッサンアル」

朱に沈む街。いつもより高い目線。きっと今日しか言わない子どもみたいなワガママと、『ありがとう』代わりの宣言一つ。
一つ大人になる度に、誰かを背負える背中が持てるのなら。
それが、今日という日なのなら。


「銀さーん、神楽ちゃーん。何してんですか、遅いですよー」


通り向こうに見え出した万事屋の玄関から、こちらに手を振る影が見える。

「あ、新八アル」
「へいへい。今行くっつの、メガネ」
「むおおっ!カレーの匂いがするアル!ご馳走ネ!」
「いててて、てめっ、人の背中でバタバタすんじゃねーよ!叩き落すぞコノヤロー!」
「早く帰らないと!カレーが私を呼んでいるネ!銀ちゃん走るアル!」
「俺は馬かァァァ!」
「ハイヨー!」



「…あのハゲオヤジ、なぁにが『神楽ちゃん泣かせたら殺す』だよ。こんだけ笑ってりゃ十分だっつーの」
「え?何か言ったアルか?」
「なんでもねーよ。おめーにゃ関係ねーの」
「ハゲがどうしたアルか。とうとうハゲ上がってきたアルか。額の広さを天パのもさもさ感でごまかしてるアルか」
「誰がもさもさハゲだ。俺ァまだまだ悩み無用だコノヤロー」




 プレゼントは、特別に生卵を乗せる事を許可された新八特製カレーと、今夜のテレビのチャンネル権。そして銀ちゃんのおんぶ。
そんな11月3日の事を、パピーに手紙で報告しよう。
だから心配いらないヨ、って。バースデーカードのお礼代わりに報告するとしよう。






==========================
ごめん、新八。出番ちらっとで。
ていうか何だコレ。誕生日ネタなのか?
とにかくこの2人にグダグダしゃべらせたかっただけ、といいますか。
誕生日って、やっぱり年に一度の特別な日だから。
その日くらい甘えてもいいよね?っていうのもあったりして。それでこんな感じになりました。
何はともあれ、ハッピーバースデー!神楽!

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